認知症を制したものが実習を制する 学生さんがいまいち分かっていない認知症の看護について

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    By甘いものが大好き看護さん


    どの領域別実習、基礎看護学実習でも通っては通れない高齢化の社会。

    今回は「認知症の看護」について解説したいと思います。

    例えば、老年期の実習で重度認知症の意識レベルⅡ-10日中覚醒ほぼなし
    誤嚥性肺炎で入院された患者さんを受け持たせて頂いた場合、学生さんなりの看護計画やアセスメントを考えなければなりません。

    ありきたりな、STやPTが食介、口腔ケア、嚥下訓練に介入しますか? 一人の患者さんを受け持たせて頂いているのですから、それ以上に何かできるようにしないと「アセスメントが浅い」などのお説教を頂く場合があります。

    学生が介入できることが中々思いつかない、学生さんにこの記事を一読していただきたいと思います!


    ■目次


     ▶認知症の病態

     ▶認知症の症状 症状に対する看護のポイント

     ▶認知症の治療

     ▶認知症患者の看護と介護

     ▶今の時代、認知症だからといって長く病院にはいられない!認知症の退院支援について学生ができること




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    ■認知症の病態




    認知症とは、後天的な脳障害により一度獲得した知的機能が自立した日常生活が困難になるほどに持続的に衰退した状態、を指します。

    一般的な認知症の定義として・・・

    認知症とは、「ひとたび正常に発達した認知機能が、その後の脳の器質的病変によって徐々に低下し、日常生活の遂行に不具合を生じた状態」とあります。

    しかし、これだけでは何を言っているのかまるで分りません。もっと掘り下げてみましょう!


    主な認知症としては

    「アルツハイマー型認知症」

    「レビー小体型認知症」

    「脳血管性認知症」

    の三つになります。

    この三つの認知症を合わせると約9割となるため、これらの認知症の病態を理解することが重要となります。

    また、認知症ではBPSD(周辺症状)や中核症状が問題になりやすいです。

    特に周辺症状は看護としての役割が非常に重要となりますので、しっかりと理解を深める事が重要となります。


    上記の認知症の型以外に看護師国家試験でも出題範囲でもあり、狂牛病などで有名な「クロイツフェルト・ヤコブ病」 

    これは昔の呼び方でしたね  今は「プリオン病」と言われています。

    マイナーな疾患ですが、度々国試に出題されますので「プリオン病」という名前だけは頭に入れておく必要があります! 現場では一生に一度出会うか出会わないかの確率になります・・・


    アルツハイマー型認知症の病態



    認知症の約50%がアルツハイマー型認知症によるものです。

    アルツハイマー型認知症では、高齢になるほど発症しやすいです。何年もの時間を経て、少しずつ病気の症状が進行していきます。

    このようなアルツハイマー型認知症の患者さんでは、「老人斑」と「神経原線維変化」の二つの特徴的な構造的変化が起こっています。

    アミロイドベータ(Aβ)という異常なタンパク質が凝集したものであり、これが老人斑を形成して脳にシミのようなものを作ります。アルツハイマー患者では多量の老人斑が沈着しています。

    また、神経原線維変化は、タウタンパクが凝集することで起こります。

    このような老人斑の蓄積や神経原線維変化が起こることにより、脳の神経細胞が死滅していきます。これによって、脳の萎縮が起こります。

    脳の構造的な変化が起こることで神経細胞が減ってしまうと、記憶において重要となる神経伝達物質が減少します。これにより、脳の記憶機能が衰えて物忘れなどの症状が表れてしまいます。



    レビー小体型認知症の病態


    レビー小体型認知症の主な特徴

    ①認知機能の障害 :記憶を留めることが難しい
    ②運動機能の障害 :歩行障害、体を動かしにくい
    ③幻視 :見えるはずのないものが見える
    ④症状の変動 :病気の症状の重さが日によって変動する



    レビー小体型認知症の特徴としては、大脳皮質にレビー小体というタンパク質の塊が現れることにあります。

    レビー小体型認知症では物忘れだけでなく、パーキンソン病のような症状(運動障害)を表します。

    さらに加えて、レビー小体型認知症では幻覚症状(特に幻視)や妄想が表れます。病気による症状の重さが日や時間によって変動することも特徴の一つです。



    脳血管性認知症の病態


    脳血管性認知症の原因としては、脳梗塞や脳出血の多発によるものが70%以上を占めます。

    脳血管性認知症における症状の進行としては、アルツハイマー病やレビー小体病のように少しずつ病気が進行するのではなく、脳血管障害の発作が起こるたびに段階的に症状が悪化します。

    そのため、脳血管障害の発作を予防することで認知症の悪化を防ぐことができます。








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    ■認知症の症状 症状に対する看護のポイント


    ここでは認知症の基礎知識について解説します。 看護のポイントは更に下はスクロールしてみてください!

    1物忘れ


     
    最も頻度の高い認知症症状。単なる想起困難(思い出すのに一過性に必要以上の時間がかかること)ではなく、エピソード記憶と呼ばれる個人的経験記憶の障害が起こり、自分の経験したことが記憶として残らない。


    例:同じことを繰り返す。5分前に行ったことをわすれてしまう。
    陳述記憶
    言葉で表すことのできる記憶(意味記憶・エピソード記憶)
    非陳述記憶
    言葉で表すことのできない記憶(手書き記憶:体で覚える記憶)






    2失見当識れ


    時間、場所や人物を正しく認識する機能の劣化。今日の日にちが言えない、いまの季節が分からない、診察に訪れた病院が分からない、等で判断される。

    3失語


    言語機能の障害を総称して失語という。家族の会話に入ってこない、自分からしゃべらなくなる、新聞を読まなくなる、漢字の少ない文章となりその内容も平板化・貧困化する。字体そのものも劣化するなどの失語症状が見られる。
    言葉の持つ意味の記憶は意味記憶であるが、意味記憶の喪失を語義失語という。

    4失行

     
    視空間機能の障害により目的とする作業を正しく遂行できないことを失行という。
    (~することができない状態)電気をつけたり消したりできない。服がうまく着られない。等

    5精神症状および行動異常



    1~4の症状を総称して中核症状と呼ぶ。
    一方、その認知機能障害をる有する患者が周囲の環境や人々の関わりのなかで示す
    抑うつ、意欲障害、不安、焦燥、幻覚、妄想、脱抑制(幼児化)、昼夜逆転、徘徊、易怒性、介護への抵抗、暴言等の精神症状をBPSD(認知症に伴う行動・心理症状)と呼ぶ。ものとられ妄想等。

    これだけでは中核症状と周辺症状がわかりづらいのでもっと掘り下げて見ましょう!


    中核症状とは「認知症の方なら誰でも現れる症状」の事を指します。

    <記憶障害>


    昔のことや、直近に会った事柄が、記憶からすっぽりと抜け落ちてしまう障害です。

    短期記憶障害(記銘力障害)と、長期記憶障害の大きく2種類に分かれます。


    <見当識障害>

    日時・場所の理解や方向感覚などが失われ、周囲の人を見ても自分が置かれた状況を判断する事が出来なくなります。


    <判断力の障害(実行機能障害)>

    「目的をもった一連の行動を自立して有効に成し遂げるために必要な機能」

    実行機能障害とは、この定義の機能が果たせない…「(行動の)目的が定まらない」「(行動が)自立出来ない」「(行動に)効果が期待できない」「(行動が)成し遂げられない」というように、行動をとる際に支障をきたすという事なのです。


    <失語・失認・失行…【高次脳機能障害】>

    高次機能についてはしっかりと学習を積み重ねてください! ここのアセスメントが重要となり、患者さんがどの程度の認知症が進行しているのか、アセスメントする上で重要となります。さらに日常生活レベル(ADL)について、高次機能のレベルについてアセスメントすることが重要です。 高次機能障害ってなんだっけ? 高次機能が障害されるとどうなるの? などの質問が飛び交っても困らないようしっかりと学習しておいてください! 絶対に指導者や教員から質問される内容になります!

    ⚠国試によく出題される内容になります。


    <失語>

    失語とは、言語野である大脳が障害され「聞く・話す・読む・書く」といった音声・文字などの言語情報に関わる機能が失われた状態をいいます。


    看護のポイント

    <失語の観察項目 (OP)>

    ◯患者の基礎疾患、障害の部位の確認(CT画像など)

    脳血管性認知症の患者さんではどの部位が障害されているのか、CTやMRIなどの画像をみて・・・

    見なくていいです。 わざわざCTやMRIをみて自分勝手にアセスメントすることは絶対に止めましょう。それは医師の領域です。

    ですので、学生さんが最も見なければならないのが、「医師所見」になります。 医師所見からどの部位が障害されているのか把握しましょう。

    ◯失語の種類や程度、症状の把握(流暢さ、言語理解、復唱が可能か)

    画像診断ではどの程度の失語のレベルなのか把握できません。 そのため、実際に患者さんと話してみて流暢さはどの程度なのか? 学生さんが話した内容は理解しているのか、復唱はできるのか?
    などについて観察してどの程度の失語なのかアセスメントしましょう!

    失語の種類では、運動性失語、感覚性失語、全失語などいくつかの種類があります。

    学生さんが一番困るのは、失語に関する看護のスケールがないことです。

    そのため、リハビリスタッフによく質問してみてください! 質問は学生さんの特権であり、義務です。

    さらに、リハビリ見学などを行う事が多いと思います、他職種連携の練習を合わせてしっかりと質問してアセスメントに有効に活用しましょう。

    ◯治療方針とその内容、患者・家族の受け止めの状況

    医師の治療方針はカルテに記載されていますので、それをしっかりと見てください。どの程度まで回復、現状維持などを目指しているのかを明確にしないと独りよがりの看護になってしまいかねません

    患者さんは言葉が出ないことについて混乱することがあります。

    多少の言葉の謝りは指摘せずに、言葉ではなく相手が言いたいことを理解することが看護のポイントとなります。

    また、失語では相当なリハビリ時間を要します。

    日々継続して根気よくリハビリを行えるようにしていくためには、1日の中でちょっとした変化も大切となります。

    失語症の患者さんの好きな花があるなら、ちょっと中庭に出て咲いている花を見ながら、「花の名前」や「季節」を結びつけて話をする、気分転換のために足浴をしてみるなど、学生さんが出来る範囲の介入が患者さんにとってとても勇気づけられ、見守られている安心感へと繋がると思います!

    ◯精神状態の把握

    どの疾患にも言えることですが、最も大切なことは、3側面の観察し看護を提供していくことです。3側面とは、<身体的、精神的、社会的側面>になります。 

    今まで私達が行えていたことが突然病気のためできなくなるということは、患者さんにとって大きなストレスになります。

    そのストレスがどのように作用しているのかしっかりとアセスメントし患者さんの望む自分自身を取り戻せるよう看護として何ができるのかを学生さんなりに考えて個別具体的な援助計画を立案して言ってくださいね!


    ◯患者・家族の理解度

    医療職と患者さん、家族が思い描いている未来が食い違っている事があります。

    この食い違いが医療職と患者さん、家族との仲違いになりかねません。 しっかりと患者さん、家族とコミュニケーションを取りお互いの信頼関係を構築しておくようにしましょう。

    ◯コミュニケーション手段の確認

    受け持った段階で口頭で話せるのかなど観察します。

    ◯治療内容(STの介入状況)の把握

    <失語のアセスメント>

    ◯失語の種類や特徴を把握し、患者の病態を理解しているか

    ◯個別に応じた適切な対応により、コミュニケーションを図ることができているか



    <失認>

    失認とは、体の器官(目・耳・鼻・舌・皮膚等)に問題がないのに「五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)」による認知力を正常に働かせ、状況を正しく把握することが難しい状態をいいます。但し、五感全てが正常でないのではなく、一部分が侵される事が多く、周囲の人が支援すれば対象を正しく認識することができます。

    <失行>

    失行とは、体は動いて運動することが出来るのにもかかわらず、目的とする行動の方法が分からなくなる状態をいいます。

    となります。 上記の内容は簡単に説明しましたが、これ以上に知っておいてほしい「高次機能とはなにか?」について解説します。

    知的機能ってなんだろう?


    <1記憶機能>

    新しく学習したり、学習で獲得した内容を保持し、必要に応じて取り出す機能。

    <2言語機能>

    言葉を発する、理解する、作成するあるいは文字を読んだり書いたりする機能。

    <3見当識>

    時間、場所、人物を定位する機能。

    <4視空間機能>

    二次元あるいは三次元で道具を扱うなど、動作・作業を行う機能。

    <5実行機能>

    注意を向け判断し段取りをつける機能。

    になります。

    高次機能障害とは上記の5つが障害されることになります。上記の5つが障害されると患者さんはどのようになるのでしょうか? ここに看護のポイントがしっかりありますので、よく患者さんを観察してみてくださいね!

    「周辺症状(BPSD)」を制したものが実習を楽にする!



    BPSDは環境や心理状態によって患者さんごとに異なります。 そう、異なるのです。そのため、ここが看護学生さんが一番注目して観察し介入していくことが指導者や教員が最も学生さんを評価しやすいポイントでもあります!

    BPSDとはなにか?


    <認知症による徘徊>

    看護のポイント

    徘徊には必ず「理由」があります。何故その場所に行こうとするのかを本人に聴き、否定することなく受容し、夜中であれば「明日の朝一緒に行きましょう」などと言って他の話題に話を切り替えてみると穏やかになられることもあります。

    昼間で本人が望む場所が近くにあるのであれば一緒に行くのも良いでしょう。出来るだけ本人の気持ちに寄り添ってみて下さい。


    <弄便>

    看護のポイント

    大便を手で触れたり掴んだりして、自分の体や寝具・壁など至る所に擦りつける行為を「弄便」と言います。弄便の原因はオムツ内に失禁したことによる不快感を認知症の進行により介護者に伝えることが出来ず、自らオムツを外して自分で何とかしようとした結果が弄便に繋がると考えられます。

    逆にトイレやポータブルトイレの中の便を掴むという行為は殆どありません。オムツへの失禁はとても不快なだけでなく自分ではどうすることもできないという強いストレスや意欲の低下を招きかねません。介助すればトイレへの移乗が可能な方であれば、出来るだけオムツを使わずトイレで自然排泄が出来るよう環境を整備すると弄便等の不潔行為は減らせるかもしれません。


    <物盗られ妄想>

    看護のポイント

    認知症が進行すると、いつ、どこに、何をしまい込んだかを忘れてしまいます。「お金・通帳・貴重品」を失くしたと騒ぎ、タンスや引出しの中を1日中探し回ってしまいます。それでも見つからず被害的な気持ちが出てくると、そのうち誰かが盗んだのではないかと一緒に住む家族や介護者に疑いの目を向けるようになります。これが「物盗られ妄想」となります。

    介護者や家族がご本人にとって「信頼できる人」であれば、大きなトラブルとならずに済むケースも多いのですが、例えば訪問介護のヘルパーで担当が頻繁に変わるような環境だと信頼感が低く本人の被害妄想が悪化することもあります。その他の要因でも本人との信頼関係が築けていない場合は辛抱強く誠意ある対応をしていく必要があります。

    物が無くなり易い環境が要因である事もあります。財布や貴重品を入れる場所に予め目印を付けたり大きな文字で書いておくと本人にも理解できるようになる場合もあります。


    <せん妄>

    看護のポイント

    認知症を発症した後のせん妄の発生要因として、体の痛みや労作時などの疲れや息切れ、便秘等の体調不良により起こる事が考えられます。発生すると急激な錯乱・混乱状態となりますが、発生要因に対して適切な治療や対応を行う事で精神状態をせん妄発生以前の状態に回復させることは可能です。

    予防には日々の体調管理が不可欠です。医療的な管理で疼痛管理や便秘の状態を把握し、日常では生活動作能力に見合った活動を行うよう心がける必要があります。


    <幻覚と錯覚>

    看護のポイント

    部屋に知らない人がいる、ベッドに電流が流れている、窓から毒ガスが入ってくる…幻覚の症状がある方には全てがリアルに見えたり感じたりしています。介護者にとって必要な事は「いきなり否定しない・肯定もしない」という事です。

    真面目に見えていると言っている本人は、見えているものを頭ごなしに否定されてしまうと余計混乱してしまいます。逆に肯定してしまうと、見えている物は大抵「怖い存在」で本人が怯えている事もあり、その恐怖を助長してしまう可能性があります。

    必要な対応としては、本人を安心させる為に、幻覚として見えていると思われる存在がいる場所に実際一緒に行って、その存在を打ち消す(=本人を安心させる)必要があります。子供が部屋で走り回っていると言われれば、その部屋に行って、誰もいない事を一緒に確認するのです。そうすると、本人は「あぁ、誰もいないね」と言って安心される事と思います。


    <うつ・抑うつ>

    「認知症」と「うつ」は混同されやすい症状であると共に、認知症となった後にうつを併発することもあります。

    主な症状としては、意欲の低下や思考の障害など、見た目には一般的なうつ病に似た症状が現れます。これが混同されやすい原因で、実際には認知症とは異なる「うつ病性の仮性認知症」という状態が存在します。

    しかしよく観察すると、うつ病性の仮性認知症と認知症によるうつには決定的な様態の違いがあり、物忘れした自覚や本人の深刻さが仮性にはあるが認知症には少なく、気分の落ち込みも仮性では大きいですが認知症ではそれほど大きいものではありません(むしろ認知症では「楽観的」になる傾向があります)

    そして、脳の画像診断を行う事で異常があれば認知症という診断となります(仮性認知症では脳に異常所見は見つかりません)

    しかし、仮性認知症といえども認知症に移行しないというわけではありません。まずは専門医を受診して頂き今後の対応について話し合いをされるとよいでしょう。


    <暴力・暴言・介護拒否>

    看護のポイント

    主に介護に対する不満や不安・苛立ちが募ると、健常な時は理性で抑えていた性格が表出して暴力・暴言となることがあります。若年性認知症の方や、男性の認知症の方の場合は標的となった介護者が危険に晒されることもあります。

    認知症になると思っている事を表現する事が難しくなります。暴力や暴言が出るのは、自分が考えている事がその通りに行かなかったり、望まない介護を受けることで不快な思いをしたり、介護者の声かけの対応が悪かったり(命令的であったり、禁止するような声かけ)することに対する抵抗である事も多々あります。それが介護拒否に繋がることもあり、在宅生活を続ける上で大きな障害になることもあります。

    介護者が介護の在り方を見直したり、本人の意向と真摯に向き合い誠意ある対応をとる事で信頼を得て介護が円滑に運ぶこともあります。


    <失禁>

    看護のポイント

    認知症の方の失禁の理由はいくつかあります。

    ・トイレの場所が分からなくなる。
    場所の見当識が障害されることで、トイレに行きたくても場所が分からなくなり、探しているうちに失禁してしまうということがあります。対応策としてはトイレに大きな目印を付けておく」「夜はトイレまでの通路に明かりをつけておく」「ふらつきがあり移動が不安な場合はポータブルトイレの導入を検討する」といった手法が考えられます。

    ・トイレの感覚が分からなくなる。
    認知症になると尿意を感じる機能が低下し、トイレに行くための行動が遅れ失禁するようになります。 失禁を防ぐために介護者が出来る事は…

    (1)ご本人の排泄周期をチェックし、時間をみながら定期的にトイレの声かけを行う。  行動が遅れるのであれば、予めトイレに行く時間を決めておいて排泄の誘導・声かけを行うとよいでしょう。失禁は本人の自尊心が大きく傷つく事ですから、失敗しにくい環境にしていく事も必要と思われます。
    (2)ご本人がトイレに行く前に起こす前兆を察知する。  特に同居されている介護者の方であればご本人の動きをよく観察してみて下さい。なんだか落ち着かない、急に立ち上がろうとする…といった行動のあとに排泄に及ぶという事もあります。見当識が障害されているのでそのまま放っておくと失禁するリスクがあるので、声かけしてトイレへ誘導するとよいでしょう。

    薬の影響で夜間頻尿、頻回な失禁で悩んでおられる方もおられるかもしれません。ですが、出来るだけオムツは使わないよう心がけて頂きたいと思います。オムツに排泄する事は介護者の負担を軽減できる反面、ご本人の自立を阻害し、排尿感覚を奪ってしまうという危険性があります。残存機能を維持し、立位や移乗が可能であればトイレ(ポータブルトイレ)を利用できるよう支援をお願いしたいと考えます。


    <不眠・睡眠障害・昼夜逆転>

    看護のポイント

    高齢者になると一般的に眠りが浅くなります。加えて認知症の方は、睡眠・覚醒・体内時計の調節に関わる神経伝達物質の量が変化する事で睡眠障害となる危険性が高いと言われています。高齢かつ認知症となると夜間の睡眠量が減り、日中に傾眠傾向となり、昼夜逆転が起きやすくなります。

    昼夜逆転で最も介護者に負担となるのは本人の夜中の不眠による介護量の増大でしょう。夜中に大声で叫んだり大音量でテレビを見たり、夜中なのに今から仕事に行くと言って外に出ようとします。

    対応としては日中の活動量を増やし、日光を浴びる活動を行うことで体内時計を正常化することや、夜の睡眠時間の前に入浴や足浴を行う事で睡眠しやすい環境を整えることが挙げられます。まずは薬に頼らず活動内容の見直しから始めてみましょう。


    <帰宅願望>

    看護のポイント

    ご本人が「帰りたい」と思う理由は、置かれた環境や本人の状態によって個々に異なります。例えば昔の記憶しか残っておらず「自分の家=幼い頃に過ごした実家」で、今家族と居る家は自分の家じゃないと思い込んでいるかもしれません。女性の場合では「家事があるから」と、外に出て車(バス・タクシー)を探そうとされる方もおられます。

    このような症状が1日の中では夕方にかけて起こり易くなる事から「夕暮れ症候群」と言われる事もあります。

    ご本人はとても不安に感じておられます。一刻も早く家に帰らなければ…と。介護者はまず本人の話に耳を傾け受容する必要があります。頭ごなしに「帰れない」と否定しては余計不安感を助長してしまいます。本人の話を聞いたら「もうすぐ夜だから明日の朝にしましょう」とか「では一緒に帰りましょうか?」と言い、周囲を一周して再び戻って来てもよいでしょう。その後に「御飯を食べて行きませんか?」等と声かけをして帰宅願望から話がそれていくようにしていきます。

    認知症の方の行動にも「理由」があります。帰宅したいという気持ちを受け止め、本人の立場に立った対応を心がけましょう。

    <食べない>

    看護のポイント

    レビー小体型認知症の方の場合、パーキンソン症状による摂食障害や嚥下障害がみられることがあります。パーキンソン病患者の死因は肺炎が最も多く、その肺炎の原因は「誤嚥性肺炎」による部分が多いと言われています。誤嚥や摂食障害があると食事をしようとする意欲が低下し、食事を食べなくなる事があるのです。

    また、他の病気によるものも考慮しなければなりません。認知症では本人から痛みや不調の訴えが出てこないことも多く、検査をして初めて事が重大だったと気付く事も多々あります(高齢者の場合、我慢して苦痛を口にしない事もあります)

    考えられる病態の一例としては、胃酸が逆流して食道粘膜に炎症が起きる逆流性食道炎や、脱水症による食欲の減退等があります。食事量を確認し、明らかに量が減少している場合等は主治医に相談してみましょう。

    <異食>

    看護のポイント

    認知症になると見当識が障害され、目の前に有る物が食べられるかどうかも分からなくなる状態になる事があります。異食とは食べられない物を口にしたり、実際食べてしまう事を言います。

    もし介助を受ける人が異食をする状態となったら…手の届く範囲のものを何でも口にしてしまう危険性がありますので、手に届く範囲には「口に入る食べられない物は置かない」ようにしましょう。特に気をつけたいのは医薬品や電池など、体に入ると極めて有害となる物質です。もし口にして誤って食べてしまったら、説明書等をよく読んで適切な対応をしてからすぐに病院に行きましょう。




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    ■認知症の治療



    1アルツハイマー病


    全認知症患者の薬60%を占めるとされている。脳にアミロイドβタンパク質とタウたんぱく質が異常に蓄積することがこの疾患の本質。エピソード記憶の障害である。

    左右の脳の側頭葉の内側には、嗅内皮質と海馬と呼ばれる記憶の一時保存をする部分があるがアルツハイマー病では真っ先に側頭葉内側の神経細胞群が脱落するのでエピソード記憶の保持ができなくなる。

    治療
    診断にたどり着いたら早期にコリンエステラーゼ阻害薬の使用を開始する。
    働き:脳内のアセチルコリンの働きを高め、認知機能を維持する。
    ドネペジル塩酸塩、ガランタミン臭化水素酸塩、リバスチグミンの三剤がある。

    2血管性認知症


    脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の後遺症として生じる認知症の総称。

    病型
    1:広範囲脳梗塞
    2:ラクナ梗塞
    3:視床、海馬などの単発梗塞により記憶の回路に重大な損傷が生じた場合
    4:ビンスワンガー型白質脳症(虚血性病変)
    病型により種々の症状を示すが、一般に意欲低下と前頭葉機能の低下が目立つ。アルツハイマー病と比較し、パーキンソン様症状、歩行障害、易転倒性、嚥下機能低下等の身体症状が強い特徴。


    治療

    危険因子として高血圧、糖尿病、心房細動、高ホモシステイン血症、脂質異常症、に対する治療が優先される。再発予防には、シロスタゾールや低用量アスピリンなどの抗血小板薬を用いる。嚥下機能の改善と誤嚥予防には食材の工夫、食後の座位保持、便通の改善、口腔ケア、ACE阻害薬が有効である。

    3レビー小体型認知症




    全認知症の20%を占めるとされている。たんぱく質の一種であるα‐シヌクレインの沈着とレビー小体の形成を特徴とする。レビー小体は封入体であり細胞質内にできた異常な構造物である。
    変動する認知機能、せん妄の再燃、幻視が特徴。パーキンソン様症状、起立性低血圧による失神発作も見られる。



    治療
    幻視などのBPSDに対して抗精神病薬を使用すると、ADLが著名に悪化し、肺炎や腸閉塞を併発して死亡することもある。
    なので抗精神病薬はNGである。ドネペジル塩酸塩は保険適応でないが効く。幻視などのBPSDに対しては漢方製剤などの抑肝散が効く。

    4前頭側頭型認知症


    かつてはピック病と言われていた。タウやTDP‐43などのたんぱく質の異常蓄積が原因。
    性格・行動変化型と言語機能障害型の2タイプがある。
    前者は、脱抑制・反社会的行動、同じ言葉や身振りなどを繰り返す常同行動、自発性の低下が見られ、前頭葉に病変の中心がある。


    例:診察室の中をうろうろしたり、診察机を開けてみたり、検者の質問にまじめに答えない、言葉をおうむ返しにしたりする、頭の切り替えがスムーズにできない、同じ答えを繰り返す、口角をこすると口をとがらせたり、モグモグさせたりする。
    後者は発語の減少、語義失語、言語理解・表出の障害などさまざまな言語機能低下が見られる。
    緩徐進行性失語も症状である。検者が効き手をあげて、と言っても利き手のいみが分からない、となる。


    治療
    難治性である。抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が効く。


    5クロイツフェルトヤコブ病



    最も頻度の低い認知症である。が、最も進行の早い認知症でもある。
    発症から約1年で無動無言状態となる。異常型プリオンの蓄積が疾患の原因である。
    孤発性、家族性、硬膜移植後の感染の3タイプがある。
    狂牛病は類似疾患であるがこれはプリオン病ともいわれる。
    集中力の欠如、うつ様症状、歩行の不安定化、物が二重に見えるなどの不定な症状などから始まる。
    急速にすべての生活機能を失い、6か月程度で歩行不能となる。筋肉がピクピクと動くミオクローヌスという不随意運動が見られる。とくに光や音刺激に対して誘発される。


    治療
    現在は無い。




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    ■認知症患者の看護と介護



    基本的対応

    まず、笑顔と優しい声で応対を心がける。認知症患者は何度も同じことを聞いてくるが、また同じことを言って、等と怒ってはいけない。笑顔で受け止める。あるいは話題を別方向にかえるなどの工夫をする。
    認知症患者は、周囲を自分に優しくする人と自分を攻撃する人、の2種類にわける。看護者が攻撃的になると患者も不機嫌となり攻撃的になる。


    薬剤投与


    薬は飲み終わるまで確認する。理由としては指示内容を忘れてしまうため。
    飲み忘れを注意しても、患者にはなんのことかわからず、看護師が突然攻撃的になったという印象しか残らない。実際に飲むところを確認することが大切。


    幻覚・妄想への対応


    幻覚・妄想や介護への抵抗に対して、安易に抗精神病薬を使用しない。


    現在の抗精神病薬はドーパミン受容体の阻害薬なので、パーキンソン様症状の誘発、易転倒性誤嚥のリスクの上昇が避けられない。


    これは転倒による骨折や誤嚥性肺炎を引き起こし、寝たきりへとつなげてしまう。(廃用症候群
    同室の患者を入れ替える、個室に移動する、少し電気を明るくしたりものの配置を変えたりなどすると幻視が軽減することもある。患者の使い慣れた物を病室に置くと効果的な場合もある。



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    ■今の時代、認知症だからといって長く病院にはいられない!認知症の退院支援について学生ができること




    介護サービスの申請を行い、積極的に退院支援にかかわる。原疾患が治癒しても認知症の治療が期待できない場合、患者は認知症を抱えたまま自宅へと戻る。
    退院の前には医師、看護師、ケアマネ、など多職種が家族を囲んで退院後のことを話し合うことが大切となる。とくに家族には認知症を抱えた状態では、今後の家庭での療養が困難となる可能性があることも理解していただく。





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