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脊髄管狭窄症 解剖整理 看護 看護過程






★脊髄管狭窄症★

【病態生理】

脊髄の構造

・脊椎と脊髄を側面から見た図を下に示す。脳幹部延髄より尾側に伸びる脊髄は、脊椎各高位左右1対の根を分岐させながら脊髄円錐部まで続いている。尾髄と仙髄はこの円錐部およびその上部に存在している。

・円錐部から尾側は馬尾が脊椎管内を走行し、腰椎や仙椎の各高位から左右1対の神経根を分岐させている。

・生下時には脊髄円錐部の位置は第3腰椎付近にあることが多い。しかしながら、成長の過程で脊椎の成長速度に比べて個人差がある。

・頸椎は第1から第7頸椎まで7個あるが、頸神経は第1から第8頸神経まで8個ある。第1から第7頸神経は 

 各頸椎の頭側から出ているが、第8頸神経は第7頸椎の尾側の椎間孔から出ている。

・第1から第12胸神経は各胸椎の尾側の椎間孔から、また第1から第5腰神経も書く腰椎の尾側の椎間孔から出ている。各高位の神経根から出た抹消神経の支配近く領域を下に示す。

・脊髄を後方から見ると頸髄と腰髄では神経細胞が多く、他に比べて膨大している。

・また脊髄は、硬膜やクモ膜に包まれた空間内(クモ膜腔)に脳脊髄液とともに存在している。

・脊髄の前面からは前根糸が出てそれらが合わさって前根となり、また脊髄後面からは後根糸が出て同様に合わさって後根となり、その両者が椎間孔の近くで合流し、椎間孔をでるところで1本の脊髄神経となって抹消へ向かう。

前根は運動機能を、後根は感覚機能を司り、後根は椎間孔内で脊髄神経節(後根神経節)を形成している。

・腰椎各高位の椎間孔付近で馬尾と一緒に脊椎管内を走行してきた前根と後根が合流して、椎間孔を出たところで1本の脊髄神経(腰神経)となる。また同様に後根は椎間孔内で脊髄神経節を形成している。

・成人の第1腰椎付近に脊髄の終端である脊髄円錐部が存在している。円錐部より馬尾が走行している。

    

 

脊髄の働き

灰白質は神経細胞からなり、髄節を通じた入出路の神経

情報の管理などを、白質は神経線維からなり、脳と各髄

節を結ぶ連絡路の役割がある。前根は運動、後根は知覚の神経線維できている。

 

脊髄の血行

・脊髄の前方中央部には、前脊髄動脈が走行し脊髄の前方約2/3の領域を栄養している。また脊髄後方には後外側脊髄動脈が左右1本ずつ走行しており、脊髄の後方約1/3の領域を栄養している。

 

脊髄の機能

・大脳運動野から出た1次運動ニューロンは、延髄で交差して反対側の脊髄の外側を錐体路として下行後、脊髄前核内に存在する2次運動ニューロンとシナプス結合する。この前角内の2次運動ニューロンが前根糸・前根を通じて脊髄を出て末梢神経である脊髄神経に合流する。

・一方、後根神経節の細胞核をもつ近く神経は、温覚・痛覚・触覚などの表在感を司っており、皮膚などの抹消に知覚枝を伸ばす一方、後根を通じて脊髄後角に入り、後角内に存在する2次知覚ニューロンとシナプス結合する。

・二次知覚ニューロンは、脊髄の反対側の前外側を脊髄視床路として上行し、温覚・痛覚・触覚などの表在感覚を伝える。

・また振動感・位置感・立位認別感などの深部感覚を司る神経は、後根を通じて脊髄後索に入り、後索を上行して深部感覚を伝える

・このように脊髄は大きく分けて脊髄を上行・下行する長経路と、各高位ごとの髄節に分けてとらえると理解しやすい。

・また、脊髄の中には膀胱の排尿機能を司る神経も走行している。前頭葉や脳幹に排尿中枢が存在しており、脊髄を下行して胸腰髄(T11L2)や仙髄(S23)の神経核とのシナプス結合を通じて膀胱機能を調節する末梢神経と連絡している。

脊椎管が狭窄状態になり、馬尾神経や神経根が圧迫され神経刺激症状や神経脱落症状を呈したもの、主に中高年に発症し、間欠破行が特徴的。

 

・腰椎の退行性変化(加齢変化)は、脊椎管が狭くなる方向に進む。

・椎間板の髄核は、加齢とともに水分含量が少なくなり、弾力性が低下するとともに線維輪の膨隆が進み、脊椎管内にせりだすようになる。それとともに脊椎管後方の黄色靭帯もたわみ、脊椎管内にせり出す。

・また、脊椎管の外側にある椎間間接も加重負荷から起こる変形性関節症変化を呈し、骨棘の形成や骨強殖をきたし、脊椎管の側方および後方を占拠するようになる。

・このような腰椎を構成する多くの組織の退行性変化が、脊椎管狭窄状態を形成する原因である。

・また、無症状で経過している脊椎管狭窄状態に、わずかな椎間板ヘルニアの病態が加わり、急性発症することもある。

・退行性変化の程度には個人差が大きい、脊椎管の広さも個体差が大きく、もともと広い場合には退行性変化が高度でも発症しにくく、狭い場合にはわずかの退行性変化でも発症する。また、身体の他の器官や組織の退行性変化とは直接的な関連はない。

【症状・臨床所見】

                              

・歩いていると臀部から大腿、下腿に痛みやしびれが強くなって歩けなくなり、しばらく休むとまた歩けるようになるという神経性間欠跛行が典型的な症状。

 

・このような症状は、台所での立ち仕事や仰臥位で長時間寝ているときにも起こる。腰椎の前彎が強制される姿勢や動作にて起こる症状で、診察の際に、神経刺激症状のみで神経学的異常所見は呈さないが、重症の場合には筋力低下、深部腱反射の低下または消失、知覚鈍麻などの神経脱落症状も呈する。さらに、会陰部の異常感覚、尿意切迫・尿失禁・便失禁などの膀胱直腸障害を呈することもある。

 

【検査・診断・分類】

・問診による間欠跛行の状況を把握することが最も大切で、これにより診断はほぼ確定する。

・間欠跛行には、閉塞性動脈硬化症にみられる血管性のものがあるために、識別が必要となる。足背動脈の拍動の有無などの血流のチェックは欠かせないが、まれに趾尖脈波や血管造影などの検査が鑑別に必要となることもある。

・画像検査では、単純X線像は腫瘍病変や炎症性疾患を除外するためのルーチン検査として行う。

・脊椎管の狭窄状態を判定評価するには、MRIが最も診断的価値がある。

・骨組織の詳細を知るには、CTが最も有用だが、脊髄造影CTがより診断的価値が高い、ただし、造影検査は侵襲の点から手術を前提として行われるのが一般的である。

・神経学的検査による他覚的な神経障害の状況と自覚症状のパターンによって馬尾柄、神経根型、混合型に分類される。しかし神経症状とMRIなどで判定される狭窄部位とは必ずしも一致しない。この点は椎間板ヘルニアと異なる。脊椎間狭窄症の症状発現には、神経の機械的な圧迫に加え、神経への血流障害が関与しているためと考えられている。

 

【治療】

・保存療法としては、生活指導、コルセットおよび理学療法、薬物療法、神経ブロックなどがある。これらはいずれも対症療法で、症状を緩和させることが目的であるが、に津城生活や仕事に支障がない程度まで効果がでれば治療は成功である。

・保存療法での効果が不十分な場合や、進行性の筋力低下または馬尾神経症状を呈する場合には、手術的治療を選択する。

・手術法は狭窄部位の神経圧迫を取り除く除圧術が基本で、椎弓切除術、開窓術などがある。

・脊椎固定術を加えることもあるが、その適応は術者によりことなり、一定の基準がまだ明確にされていないのが現状である。

 

★広範囲脊椎管狭窄症★

・頸椎、胸椎、腰椎の2か所以上に咳椎間狭窄症による神経障害を呈した状態。

・独立した疾患概念ではなく、診断および治療が煩雑になることから、厚生労働省が難病として特定疾患にあげた病名である。

・頸椎症性脊髄症と腰部脊椎管狭窄症の合併が最も高いが、脊椎管がもともと狭い場合(発育性脊椎管狭窄症とよばれる)に好発し、壮年期より発症することが多い。

・保存療法では治療効果に限界があり、多数回の手術を要するのが一般的である。

 

【看護】

🏥 保存治療中の看護 🏥

⋆運動療法⋆

身体の活動性維持を目的とする能動的な治療法。また、腰痛発生を予防するためにも適度な運動を継続することが大切です。高齢者にはけっして無理をさせず、座位での柔軟体操、リラクゼーションから開始し、継続できることが重要となる。

(根拠)

・筋力強化による体感および腰椎の安定化

・心肺機能を含めた全身の身体機能

(看護のポイント)

・重度の骨粗鬆症患者の場合は、前屈位を長時間維持する姿勢は避ける(圧迫骨折が発生することもあるため)

 

⋆薬物療法⋆

(非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs))

脊椎管狭窄症は症例の年齢が高く、疾患が慢性であるため、副作用の出現に留意するためにも無意味に長期間にわたり投薬を続けるべきではないとされている。

(鎮痛薬(トラムセット))

トラマドール塩酸塩とアセトアミノフェンの合剤で、強い鎮痛作用を示す。

(筋弛緩薬)

急性腰痛や慢性腰痛の一時的な増悪時に、筋の過剰な緊張を抑制させるため筋弛緩薬を使用することもある。

(プロスタグランジンE₁製剤)

馬尾型の間欠跛行をいたす中心性狭窄症症例では、神経の血流を改善させる目的で投与を行う。

(神経性疼痛緩和薬)

痛みを発する異常に興奮した神経系において、各種の興奮性神経伝達物質の放出を抑制することで鎮痛作用がある。

⋆装具療法⋆

腰部の安静目的として腰椎用の軟性コルセットを装着する。

⋆ブロック療法⋆

(硬膜外ブロック)

脊椎管内の硬膜外腔に局所麻酔薬を注入することで、脊髄神経の伝達機構を一時的に遮断する。数回のブロック施行により症状が軽快あるいは消失する例は多くみられる。誤って硬膜を損傷すると、脊椎麻酔の状態と同様になるため、血圧の低下や下肢麻痺に注意する。歩行を開始する際は筋力低下がないことを確認する。

(神経根ブロック)

透視下に神経根造影を施行した後に、局所麻酔薬やステロイドを注入する。障害神経根を同定する診断的治療です。直接神経根に薬剤を注入するため1~2回の施行で症状が消失あるいは軽快することもある。歩行を開始する際には、下肢筋力の低下がないことを確認する。

 痙攣やてんかんおよびその素因がある患者に対しては、神経根造影は禁忌です。投与の際にはショックに備え、救命救急処置の準備を行う必要がある。

  

🏥 術前看護 🏥

(身体状況の観察)

・四肢筋力、ADL状態の把握

・神経症状・知覚異常・運動麻痺の有無について確認

・排尿・排便障害の有無(簡易式膀胱エコーを用いて術前の残尿評価を行っている)

・既往歴の把握

 

(根拠)

術前の状態を把握することで、症状の悪化の早期発見につながる。

 

(薬物使用状況の確認)

・抗凝固薬が中止できているかの確認

 

((根拠))

抗凝固薬が中止されていないと、術後出血が助長され、血腫形成リスクが上昇する。

そのため、中止できていないと手術自体が中止になることもあるため確認が必要である。

 

(患者指導・理解度の確認)

・医師の説明に対する患者・家族の理解度、反応について確認し、不明な点がないかを確認する

・患者の理解・認知度の確認(せん妄のリスクについて評価)

・術前から術後にかけてのオリエンテーションの実施、安静度の指導

・深部静脈血栓症予防のための下肢運動訓練の指導

・間欠的空気圧迫装置の装着によるDVT予防の説明

・自己の体位変換は避け、看護師介助下でのログロール体位変換を行う事を指導

 

(根拠)))

・医師の説明内容に対する理解度を確認し、看護の視点で補足説明や指導をすることも大切である。患者・家族の不明点を明確にし、不安を取り除くことで安心して治療を受ける事ができる。また、不安はせん妄を助言させるリスクがあるため、反応を見ながら介入していくことが重要である。

 

(コルセットの準備)

術後早期離床のため、医師の指示に従いコルセットの準備ができているかを確認します。コルセットの作製が遅れることで、離床が遅れ、術後合併症の発生リスク上昇、退院の延期、せん妄リスクの上昇につながる。

 

(退院支援のための家族環境・住居などの情報収集)

 早期から情報収集を行うことで、対象患者には介護保険申請の指導や社会資源の活用法について介入できる。退院後の環境を早期から整えることで、スムーズに退院支援が行える。

 

 

 

 

🏥 手術当日の看護 🏥

(患者指導)

・安静度の説明…安静度がわからず、無理をしてしまう場合があるため、手術前、手術後と繰り返し説明が必要

DVT予防、患者指導…脊椎手術後のDVTの発生リスクは中リスクに分類され、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法の適応となる。また、早期離床を目指すこと、足関節の足背屈運動を積極的に実施することを指導する。

 

(体位変換、スキントラブルの確認)

・体位変換…ドレーントラブル、腰部捻転を避けるため、看護師介助下での具ロール体位変換を実施する。褥瘡予防のため、最低2時間ごとに実施する。

・スキントラブルの確認…術中体位、術後同一体位によるスキントラブルの確認と予防を行う。

 

DVT・肺塞栓の確認)

DVT…疼痛、腫脹、足関節背屈時の下腿後面痛(ホーマンズ徴候)に注意して観察を行う。

・肺塞栓…呼吸困難、胸部痛、脈拍上昇、失神、ショック状態に注意して観察を行う。

 

(ドレーン管理)

脊椎手術の合併症の一つに血腫があり、血腫ができることで、神経圧迫をきたし麻痺症状をきたすことがある。創部のドレーン圧不足の有無、チューブの屈曲およいねじれの有無、排液状況を観察する。

 

(症状観察)

・出血…ガーゼ汚染(色調と量)、ドレーンの排液状態(排液の増量なく、ガーゼへの出血があるか)を確認する。

・血腫…ガーゼへの出血、手術高位以下での神経症状の出現や悪化の有無を観察する。

・疼痛(疼痛部位の把握)……創部痛:程度の把握を行う、血腫形成のリスクもあるため、創部痛なのか、血腫による圧迫なのか、見極めが必要である。痛みの指標として、NRS、ペインスケール、フェイススケールなどがある。

             下肢痛:部位と程度の把握を行う、術前との比較を行うことで新たな症状の出現、異常の早期発見につながる。

           疼痛の程度:鎮痛薬で治まるのか、注意してアセスメントする。術後血腫形成のリスクもあるため、鎮痛薬は安易に使用し続けるべきではない。鎮痛薬の効果・除痛時間・疼痛部位をアセスメントし、異常のサインに気づけるように注意することが重要である。

              頭痛:髄液漏のリスクを念頭に置き、アセスメントを行う。

・神経症状(しびれ[感覚異常]の有無とその部位)

 痛み、感覚鈍麻、異常感覚、部位を術前と比較する。術後圧迫されていた神経が浮腫を起こす事によって一

 過性に増強することもある。

・麻痺、筋力低下の有無と程度

 意識レベルの確認、下肢運動状態(足関節底背屈運動、膝縦が可能か、またその除隊を維持できるか)の観察を行う。

・硬膜損傷・髄液漏

 術中操作により、まれに硬膜損傷をきたすことがある。その場合、フィブリン糊で補修される。

損傷程度・部位の申し送りを徹底するとともに、医師から安静度の指示を確認し、ドレーンの排液状態、硬膜刺激症状の有無を確認する。

・膀胱直腸障害

尿意の有無、尿・便失禁、陰部・肛門周囲の感覚、肛門括約筋の収縮の有無を観察する。

 

🏥 手術翌日~退院までの看護 🏥

(ドレーン管理)

術後平均2日間はドレーンを挿入した状態となるため、ドレーンを装着したまま離床を開始します。離床の際には、チューブの閉塞・屈曲に注意します。また、ドレーンを気にせず離床する患者もいるため、ドレーン接続部外れのトラブルに注意が必要となる。ドレーン接続部の固定の強化、患者指導が重要。

 

ADLの拡大)

術式、手術侵襲によって離床時期が異なるため、医師の指示のもと、患者の状態に合わせて離床を開始する。初回は必ず看護師が付き添い、ADL拡大の評価を行う。

 

(コルセットの着脱)

コルセットの装着指示は患者によって異なる。腰用サポーター(マックスベルト)、軟性コルセット、硬性コルセットと種類はさまざまである。

 術式に応じてコルセット装着指示の確認を行い、装着下で離床を開始する。

 地肌に直接装着すると皮膚トラブルを起こす可能性もあるため、必ず肌着などの衣服の上に装着し、皮膚トラブルの観察を毎日行う。

 

🏥 退院指導 🏥

・パンフレットを用いる方法や、パンフレット以外でも、個々の生活背景に応じて個別的な退院指導が必要になります。趣味(スポーツ・旅行・ダンス)や自動車の運転、仕事についてなど、患者によってさまざまです。施行内容や開始時期は必ず医師と相談し、許可なく施行しないように指導を徹底しています。また、家庭内での役割がる患者に対しては、入院時より家事の役割分担を相談し、家族に協力を求められる環境づくりをしている。

・退院指導では、患者の背景・患者の状態に応じた社会資源の活用のための情報提供も重要となる。入院時より心理的・身体的・社会的な3つの側面から退院に向けた情報収集を行うことで、術後早期から退院支援を行うことができ、早期の退院と患者のQOL向上につながっていく。

 

 










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